色を拾えばいいってもんじゃない
よく、多色使いのアイテムに何を合わせるか悩んだ時は、例えばチェックシャツならその中にある一色を抜き出せばいい、
というものがありますが、
これはかなりの確率で失敗します。
実際には多色使いのアイテムを1つの塊として認識する必要があります。
例えばネルシャツ。
色味にもよるけど、例えば、
彩度高めのターコイズ紺白とかの配色のネルから単純に色を拾ってパンツに持ってきてしまうとかなりの確率で「イマイチ」なコーデになります。
この例は靴にも色を使いすぎていて余計にやばいのですが、
同じ色を多用している人の例でも、
こちらは上級者!って感じがしません?
古着によくある原色多色使いのニットを着ているにも関わらず、まとまりがある感じがしますよね。
これは、ニットそのものを色の配列としてではなく、塊として捉えているからです。
このトーンの配色をまとめられる、色を吸収できるのはどのくらいの面積でどんなトーンのどんな色を持ってくるか?
を考えた末にこのちょっと緑がかったネイビーを持ってきたはずです。
具体的に「ニットから拾った」のは靴下のピンクで、この青みが強いピンクはこのパンツのネイビーと相性が良いです。
例えば、最初からネイビーとのコントラストで補色に近いイエローの靴下を履こう、と頭で考えてニットと同じ彩度のイエローの靴下を何も考えずに履いていたら、おそらく全体がくすんでしまい、垢抜けた印象にはならなかったと思います。
多分、ニットを活かしたコーデにならずに、全体で信号みたいな赤青黄!の印象になったのでは。
ここでピンクの靴下がベストだと判断するには、鏡を見るしかないのです。
それが僕から見たらわかるから、この人は服を着ること、コーディネートを考えることが楽しいんだ、好きなんだ、というのが伝わってくるのです。
このコーデが好きか嫌いか、自分に似合うか、とかそういうのとは別にして。
基本的に色を使う時は
「吸収して殺す」のか、
「浮かせて殺す」のか
をまず考えることが必要です。
例としてパンツに明るい色を使った場合、
他も相性のいい淡い色でまとめて、
(薄いグリーンのパンツを薄いグレーと白のボーダーで殺す)
で、ポイントだけ黒とかグレーとか暗い色を使うパターン。
これはどちらかというと上の多色ニットの女性と同じタイプの「殺し方」です。
ある程度の面積に受け止める色を持ってくるパターン。
あと、特にメンズの場合、
パンツに明るい色を使った場合、
他のアイテムを暗い色で統一するとまとまる事が多いのですが(ベージュのチノパン以外を黒系で囲んで殺す)これは
色を浮かせて「殺す」パターン。
また、全身モノトーンに靴だけ赤、とかのパターンもこれに入ります。
基本的に吸収する・囲む側はニュートラルカラーが多くなります。
主にモノトーン系が多くなり、
殺したい色味によってどのくらいの濃度の、色味のグレーなのかが変わってきますし、
(黒とグレーは違いますが、黒はグレーが暗くなったものです)
もっと難しいのだと例えば上の緑がかったネイビーのように、基本色のネイビーの中でも色味を変える、などが必要になる場合もあります。
ちなみにデニムは色落ちの立体感による紺のグラデーションと白が入るので、デニムが何にでも合わせやすい、というのはこの
色物を「吸収して殺す」に使いやすい、という事です。
何しろ、色は活かす、のではなく、
いかにして殺すか、の方を意識すると
逆に「活きる」ようになる事を覚えておくと良いかもしれません。殺し方のスマートさで差がつくというか。
1番良いのは、例えば上の男性が着ているようなデザインのシャツを買わない事だったりします。シャツ系はこういうよくわからないデザインのがいっぱいあるのですが、
こういうのをだせえな、と思えるだけでも成長していると思います。
女性が着ているニットは古着だから着こなしが難しいだけでダサくはありません。
この違い、わかりますか?