スタイルの作り方について
以下、服を着る事について。
①自分の所属を表す服
自分のライフスタイルや趣味、出自に合うものを着る。これが服の基本だと思う。
例えばビジネスマンはスーツを着るのがしっくりくるし、スケボーをやる人がスケーターの格好をするのが1番カッコいい。カウボーイはカウボーイの服を着るし、サーファーはサーフに適した服を着て、山男は山男の服を着る。
自分はどの文化圏に属するかの表明。
例えば他には貴族は貴族由来の、労働者階級は労働者階級の服装をするのが1番。また、田舎者は田舎風の服を着るのが正しいという考え方も。
アフリカンなら肌の色や似合う服に合う靴を履き、日本人なら和服に合う髪型をする。
自分がどんな生まれで、どんな文化圏で育ってきたか。日本は階級とか民族にわかりやすい差がほぼ無く、これらは意識しにくいと思うけど。
一つの例として、日本で売っているワイシャツに未だに煙草とかを入れる胸ポケットが着いているのはワークのディテールなので本来はNG。日本のビジネスマンの職域自体が曖昧なので分かりにくいが、そもそもビジネスマンは頭脳労働をするものであり、作業的な仕事をする必要は無いから。
(ウォール街で着てるとプロ失格、とみなされる事もあるというのはそういう理由だと思う)服を着慣れてくると何となくこの辺のデザインについて違和感を感じるようになると思う。(ポケットというものについて意識が向くようになってくる)
こういう所からも日本のアパレルは非常にデザイン的な理屈が曖昧だと思う。アメリカ的と言えば聞こえは良いのかもしれないが、日本のアパレルはアメリカのそれとは根本的に違うと思う。
(日本のは本来の合理化ではなくマーケティング的に俗情に忖度した結果のデザイン。ワイシャツの胸ポケットも単に男性の7割超が喫煙者だった時代の名残では?メイン顧客のおっさんがビジネスバッグにあれもこれも入れたい欲求に合わせてデザインされたポケットだらけのナイロンのビジネスバッグとかも)
②ファッション
スケボーをやらないのにスケーター風の格好をしたり、家と仕事場の往復しかしないのにマンパとゴアテックスのブーツを着用してたり、そのバンドを知らないのにツアー日程が背中にプリントしてあるバンドTを着たり、20年前っぽい親世代がちょっと複雑な気分になるコーディネートをするのはファッション。
これはこれで良い。それがファッションだから。
ファッションとはそういうもの。
洋服が持つ本来の意味を抜いてしまう事で単純にネタとして扱ってしまう事がファッションの本懐。メッセージが含まれる例として1番分かりやすいのは、街中で戦場の服であるミリタリージャケットを着る、60年代由来ならそしてそこに花を刺す、という着方。ラブアンドピースの象徴としてのメッセージ性を体現しているが、別にそんなメッセージ性が無かろうと街中でミリタリー服を着るのは今は特にファッションですら無いと思う。その時代において、
「何を無視するか」「何を貶めるか」を考える事
がファッションの第一義で、メッセージ性は後から勝手についてくる、適当にでっち上げられるものだと思う。ファッションはそんなものだと思う。
※この辺、SUKEBENINGEN氏の影響強いです。
③コスプレ
特定の人の①②を真似る。
菅田将暉の真似、あるいは意識をして
柄シャツを高円寺とか三軒茶屋の古着屋に探しにいく事とか。別に古着っぽいデザインの新品でも構わない。
これはファッションですら無い。
単純に「消費者」である。
■まとめ
流行りに合わせて②ファッションや③コスプレをやっていても自分のスタイルは作れない。
いくらお金をかけていても同じ。
特に年齢がいって、具体的には結婚して子供が出来た辺りからその辺が顕著になる。
スタイルは①〜②を自分のルックス(身体的バランス・顔の系統)を客観的な目線で観察しつつ、(かつ卑屈になったり、過度に背伸びしたりせずに)バランス良くマイペースにやっていく事で徐々に身につく。
①が仕事②がプライベートになる方も多いと思うが、どちらかをアウトソーシング(=自分で選ばない&マネキン買い)にしてしまうと、結局中途半端になりスタイルは身につかない。
仕事もプライベートも自分の一部なのだから、どちらも大事にしなければいけない。
ちなみに「モード」というのは②〜③の間に存在するものである。モードというのは「ファッションですら無い」もので、ある特定のファッションに既にホットな時期を過ぎてから後出し的に権威的なお墨付きを与える事で、あの手この手でセンスのない人に「ファッションする」言い訳を与えてあげるものである。この考え方が現在は主流になっていると思う。
その他非モードブランドや最近だとUNIQLO等は
①と②の間に存在しており、
そこまで分かりやすくファッションを標榜してはいないが、見立てや組み合わせによってファッションになり得る、というブランドとなる。
※だいぶデザイナーコラボとか「ファッションでございライン」が幅を利かせているようだが。
それを避けるためにそのブランドの古着を探す、というのもあるが、結局同じベクトルになってしまうので単純にレギュラーライン自体に見立ての幅があるブランドが評価されていると思う。匿名性があり、日本人にとってありふれている、という条件を満たす、故の、UNIQLO。
以上、自分のスタイルの作り方。