オタクとネルシャツと海外カルチャー・サブカル③
【グランジ(90年代前半〜)】
90年代リバイバルということもあり、
2018年現在最も引用されていると思われる。
最近の袖が長い、上ズルズルのサイジングはそもそもグランジ由来でしょう。
アイテム単位で言っても最近の流行のパジャマシャツやオーバーサイズのアウターをガウン的に羽織るのもこれが元ネタです。
グランジについては日本人が大好きなカート・コバーンのコスプレのグランジ
こういうやつね。
と、モード寄りのグランジがあります。
長髪も含めてスタイル的には70年代のニール・ヤングに近いものを感じますが、
単純に70年代風ではなく、プリントネルとかのペラペラでズルズルなやつをサーマルとかバンドTとかと前を開けて重ね着して、クラッシュデニムと合わせるのがポイント。
パッチワークとかリメイク系デニムも雰囲気です。
それに加えて奇抜な髪色とか豹柄をはじめとしたキッチュな柄物とかフォックス型サングラスとかのチープなイメージも。
靴はニール・ヤングならマウンテンブーツとか無骨なアウトドアな感じですが、カートはやっぱりスニーカー(もっと言うとジャック・パーセル黒)ですね。
モード系グランジだと、
90年代当時はマーク・ジェイコブス×ケイト・モスなんかの、チェックシャツやらチェックのスカートを重ねて民族衣装みたいにしてコンバットブーツを履いてコーデュロイアイテムとか革ジャンとか
粗野でチープなイメージやあるいはヒッピーっぽさを打ち出したもの。
あとニットのお下げ髪ポンポン帽みたいのね。
あれはカート・コバーンもかぶってた気がする。
ハリウッドスターなんかでも当時はグランジ本来の汚い、薄汚れたという意味合いが強い、髪の毛を洗ってないベタッとした感じやビーチサンダルなんかのチープで汚いイメージの格好をしていたと思います。
最近のいわゆるネオ・グランジ?だと
洗練されて着丈が長いチェックネルをスキニーやクラッシュデニムと合わせ、ドクターマーチンなど編み上げ系ブーツなどを使って縦長シルエットを作り、ハットを被る、みたいな感じでしょうか。
レディースで最近流行った着丈長いガウンみたいなチェックシャツはこれですよね。
グランジは根底にアンチ・ファッションの考え方があるのでいわゆる日本のオタクのファッションと紙一重な所もありますが、
日本のオタクのように坊ちゃん刈りにネルシャツとデニムを着てれば良い、というような「大人しい」服の着方ではなく、大胆なサイジングや小物遣い、アイテムのチョイスでバナルさやキッチュさを志向していくことでグランジ独特のストリートっぽさが出ると思います。
だからほらね、色々なオシャレ指南サイトが提唱してるようにサイズがジャストなネルシャツを他をモノトーンにして革靴履いて大人っぽく着ても全然かっこよくないでしょ?
そんなわけで長々とお送りしてきましたが、
ワークアイテムである「ネルシャツ」はあらゆるファッションにがっつり絡んでいる、ということは理解していただけましたでしょうか。
そしてMB(メンズバイヤー)あたりから端を発するきれい目7カジュアル3の脱オタ量産型コーディネートがなんでバカにされるかわかりましたでしょうか。
それらが単純に「大人しいオタクのまま」で「よそいきなキレイ目の格好で街に行きたいキョロ充」向けの幅の狭ーい服の選び方のルールであることがわかりましたでしょうか。
結局これさえ着とけば鉄板とかこのシルエットなら安心とか、量産型が本質的なファッションとか言ってる人はおしゃれじゃないんですよ。
絶対こうしたスタイルを知ってないといけない訳じゃないと思うんですが、ファッションはどうしても元ネタがあるので、
今流行ってるものの受け売りで、その場その場で流行りの格好を次から次へとしてるだけだと、少しでもテンプレから外れた格好をしようとするとふとした小物遣いなんかで、分かってない浅ーい感じが出ちゃうんですよね。
その人の本当のおしゃれさをわかりやすく見分ける方法としては、帽子を選ばせて被らせてみればその人のレベルがわかります。