ウエスト周りがコーデの完成度を左右する
ウェスト周りについては、単純だが、上半身と下半身のつなぎ目が正面から見た時に真っ直ぐになっている方がいい。
(ビジネススーツみたいなサイジングじゃないパンツが太い時のタックインなどブラウジングの概念が入る場合はまた別のバランス)
太ももから腰骨に向けて横幅は太くなり、この写真だと左手で掴んでいるあたりが1番横幅が太くなっている。
そこからウェストにかけて横幅は細くなる。
その1番横幅が太くなっている所がトップスとうまくつながるとスッキリ見える。
これは写真を撮るとよく分かるのだが、
コーデの中でもこのウェスト部分にどれだけ意識が行ってるかがコーデの能力の完成度を決めてると言っても過言では無い。
単純にここを隠せばいいというわけではなく、
最適解としてこれを選んだのかどうか?
がこの部分は丸見えになる。
ウェスト周りのつなぎ目は自意識そのものだと思っていい。
ここを可能な限り洗練させることは重要。
(さっきも言ったが特に写真に撮る場合など)
そのためには自分の体型を客観的に見ることが不可欠。
通販やらの宣材写真で、モデルがポケットに手を突っ込んでいる写真は多いのだが、
おそらく単純にポーズという他に、写真で見た時のコーデの完成度を高めるためにこの辺のラインを誤魔化しているものも多いと思う。
トップスに対しパンツがタイトで1番広い部分が足りなくて隙間ができてしまっている、トップスの長さが足りないか長い、などの理由だと思う。
主に
・着丈が足りないので、ポケットに手を突っ込むことでパンツの1番広い幅の部分を持ち上げて調整して作って誤魔化している
(これは単純にポケット付近に手を置くだけでも誤魔化せるし、インナーに柄物を持ってくることでも誤魔化せる)
・着丈が長いのでポケットごと上のトップスを持ち上げて境界のシルエットを誤魔化している。
あと、最近ネットでよく「女子目線から見たNGな着こなし」みたいので「腰パンはダサい」というのを見るけども、これは意味もなく腰パンしている場合であって、
例の1番幅が広い部分を調整してトップスとうまくつなぐためならある程度腰パンは問題ない。
ちょっと落とした方がバランスが自然になるという例はいくらでもあるので、毛嫌いすることもないと思う。
いつもポケットに手を入れてるわけにもいかないでしょうし。
ノーブランドの世界
よく行く個人経営の服屋さんがある。
デニムなどのリペアが有名なお店で、どちらかというとそちらの方がメインなんじゃ?
という感じなのだが、
店長がセレクトしてきた一般のアパレル商品も置いている。
ほとんどがいわゆるノーブランドなのだが、痒いところに手が届くような程よい価格帯でいい感じのアイテムが多い。
ユナイテッドアスレやら無地系もいっぱいあり、マニアックなシリーズも置いてある。
店長さんと仲良くさせていただいているのだが、トップスを試着した時の営業トークで頻発するワードとして、
「ここ最近ずっとトップスの形はボックスシルエットが主流だから使いやすいよね」
というのがある。
「使いやすくてジャスト」なフィット感・サイジングというのは、ただ身体に沿ってタイトなら良いというわけではなく、その時その時で変わってくる。
例えばデニムジャケットでいうと、
こういう昔の3rd〜4thとかのウェストがシェイプされている逆三角のシルエット
(もともと3rdはポケットの下の逆三角形ステッチとかデザイン的にも逆三角形を強調してしまうデザインだけど)
ではなく、
最近はこんな感じの
ウェストの絞りが少なくストンと真っ直ぐのシルエットのものが主流。
実際にこっちの方が今っぽいコーディネートがしやすい。
最近の新品のは古着に比べて身幅を狭くしつつ搾りを弱くし、アームホールを小さめにし着丈を若干短くするなど調整していると思う。
アームホールがタイトな方が使いやすくておしゃれというのはここ数年だいぶ認知されてきている点でもある。
2ちゃんで「アームホール厨」という言葉を見た時にちょっと笑ってしまった。
アームホールも
この辺のレベルだと急激に使いにくくなる。
特に1番下の70505がわかりやすい。この写真の感じのシルエットとサイジングは絶対使いにくい。
アームホールを単純に昔より細めにしている所はだいぶ増えてきたと思うが、
ウェストのシェイプ具合、着丈、もっと言うと、どのくらいフィットを緩めにするか、という点についてはブランドによってかなり差があると思う。
それがブランドの姿勢というかどのくらいファッション性を意識しているかの差が出る部分でもある。
もちろんもともとアームホール太い逆三角形シルエットのMA-1やデニムジャケット、スウェットなどをオーバーサイズで着るやり方も流行っているけど、それはまた別の話。
(あれ古着屋さん在庫がはけていいだろうなと思う。40とか42とかのサイズのデニムジャケットとかガチの古着のMA-1とか普通は売れないだろうし…若い子とか買ってくのかな?ブランドものだと、もっと極端な団子みたいなシルエットにしてるよね…)
あくまでジャストサイズについての話をしている。
必ずしも「今」のシルエットを持つアイテムは雑誌に載ってるようなブランドじゃないといけないわけではなく、いわゆる「ノーブランド」というくくりになるような国内のアパレルメーカーでも良いものはたくさんある。
ノーブランドとは言ってもちゃんと半年前とかに企画をして、デザイナーがいて、工場があって展示会がある。
その中にある「使える」アイテムをセレクトできる、セレクトしてくれる人はどのくらいいるのだろう。
ユニクロとかGUでシャツだのジャケットだのスウェットだの買う前にこういうところをもっと発掘した方がいいと思うんだけどな。
K-holeのノームコアについて
自分が別のブログで書いたノームコアについての定義を再録します。
今回は今更ですが
K-holeのあのレポートの図をもとに
○ノームコア
○アクティングベーシック
○マス・インディー
○オルタナティブ
の違いを説明してみたいと思います。
僕は英語わかるわけじゃないので
色々とこのレポートを解説・対訳してくれている他の記事などを読んで、
自分なりにこの図を見てその単語を調べて考察した結果ですので、間違ってたらお許し&その部分を指摘いただけますと助かります。
まず、あの図です。
他のファッション系の記事でこの図の解釈が
なんとなくわかりにくくなっている原因は主語を「流行(=ファッション)」にしていないからです。
この図は
①流行に対して
・受け入れる(mass)
toleranceの軸
「流行に対して割と寛容」
・受け入れない(alternative)
rebellionの軸
「流行を受け入れようとは思わない」
②流行に対して
・思い入れ・ポリシーが強い(core)
empathyの軸
「流行(ファッション)に対して思い入れやポリシーが強い」
・わりとどうでもいい(indifference)
indifferenceの軸
「流行に対して無頓着」
という大きく分けて二種類の判断軸で
できています。
また、
evasionの「回避」
=「目立ちたくない」
の意味で
celebrationは直訳すると「祭典」
とかになると思いますが、
=「目立ちたい」
の意味です。
defferenceは
=「アイテムが人とかぶるのは嫌だ(一つ一つのモノにこだわる)」
samenessは
=「アイテムやコーデが人とかぶってもいい(あくまでアイテムはコーデの素材の一つとして考え、モノそのものへの執着はない。)」
の意味です。
これをふまえると、
○ノームコア
=目立ちたいけどアイテムへの執着はない。
ただ(+流行(ファッション)をかなり意識し、自分のポリシーがある。なんでも流行だからといって受け入れるわけではない)
○アクティングベーシック
=別に目立ちたくないけど一つ一つのモノ(ブランドと言い換えても良いかも)にはこだわりたい
(+流行だから着るとかはないけど、まあそこそこ意識はして取り入れてはいる程度)
○マス・インディー
=目立ちたいし、モノにこだわりたい
(+その時その時の流行にどんどん流されていいと思っているし、ポリシーとかファッションそのものへの思い入れがそれほどあるわけではない)
○オルタナティブ
=目立ちたくないし、モノへのこだわりもない
(流行を取り入れるのは恥ずかしいと思っている。そして無頓着というほどでもなく、一応ポリシーのようなものはある)
となるわけです。
この中でノームコアはオルタナティブと
「別にアイテムが人とかぶっても構わない」
「モノへのこだわりの薄さ」
という点で共通ですが、
「オシャレに見られて目立ちたい」「ポリシーが強い」という点で違うベクトルを向いています。
そして、質が良いもの、高いもの、希少性があるもの、珍しいものを着ているからオシャレ、
という判断基準ではないので、
例えば、
極端なことを言うとみんなユニクロとか全身1万円以内でコーデしろ!一番オシャレなやつが勝ちだ!みたいな縛りの中で差異を出す、みたいなことになるわけです。
このノームコアの中にも
それを単純に流行として考えている人と
そもそもオシャレかどうかの判断基準としてノームコア的な感覚がもともとある人がおり、
そこで次に取る一歩が二者で微妙に異なると思います。
無地の白Tを着ているあなたはどっちですか?
なんでそのアイテムを選びましたか?
何でニューバランスを履いてるんですか?
どうしてそのロゴが付いてるものを着てるんですか?
スタイルをどこに寄せていくかという問いの解答編
「世の中には色々な服装があるが、
果たしてその服装をするのに「資格」はあるのだろうか」
「例えばそれはどこからがコスプレでどこからがスタイルなのだろうか」
に対する2017年ver.の答えというか正解を
前回の考察を含めて出してみる。
下記の①②③が出来ないのはコスプレ。
①現在主流と言えるシルエット含めたコーディネートのコンテクスト上で代替品として象徴的なアイテムを使う(アイテムとして単品で見ず、あくまでバランスを作る際の素材として使う)
②逆に現在主流になっているシルエットやコーデに被らないようにしつつ、特定のスタイルに象徴的なアイテムを使わない。
(
・ベタなブランドやアイテムじゃないもので「たまたまそうなった感」を演出する
・主流じゃないスタイルについては特に「わかってる感」を出さないようにする
)
③TPOによるが「見る人が見たら分かる」ベタなコーデをあえてする。
しかしここでもベタなブランドやアイテムを使わず、代替品を必ず入れる。
それが意表をつくものであるほどレベルが高い。
わかってないのかな…適当に合わせただけなのかな…そもそもおしゃれに興味ないのかな…いや!分かってないはずがない!みたいに思わせたら勝ち。
基本的には自分にそのルーツがなくてもいいと思うが、
①②③については
・そのスタイルをして似合うのはどういう人種、スタイル、顔なのかのイメージがある
・さらに本来は似合わないけど「あえて」やる事がハマるタイプはどういう文脈で「ハマる」とされているのかを自分なりに理解している
のが必須。
②と③については
・そのアイテムの本来の用途
・どのようなスタイルを作る際の一部としてそのアイテムがチョイスされてきたか(要するに元ネタ)
をわかった上なのが必須。
当たり前だが
①②③の順番で難易度が上がる。
①はノームコア的なコンテクスト上でのミックスセンスの良さのアピール
②は流行のスタイルでなくても同じことができることのアピール(よりノームコアが分かっている)
③は②を踏まえた上でのあえてのベタ
となります。
スタイルをどこに寄せていくかという問い
世の中には色々な服装があるが、
果たしてその服装をするのに「資格」はあるのだろうか。
例えばそれはどこからがコスプレでどこからがスタイルなのだろうか。
ライムスター宇多丸氏の、
2013年のエルオンラインでの発言が秀逸だったのでこちらをもとに考察していこうと思います。
http://m.elle.co.jp/fashion/pick/13awtrend-90s-hiphop13_0927/1
ターゲット的には
ハリウッドセレブとかの真似しちゃう系の流行ど真ん中ミーハー女性向け(でしょ!?)で、
内容的には「90年代リバイバルの核としてヒップホップファッションがまた流行るんだけど、じゃあ何を着ればいいの?」
というもの。
この中で僕が注目したのは宇多丸氏の以下の3つの回答。
①【2013年現在のヒップホップファッションは、'90sからどう変化した?】
俺は90年代で1回止まったと思ってるんですよね。ダボダボ、野球帽、スニーカー、要はみなさんがイメージするまんまのヒップホップファッションです。今もトレンドと関係なく、ずーーーっとその格好をしている人もいる。それとは別に、カニエ・ウェストとかヒップホップシーンの中のおしゃれさんも出てはきましたが。なんですかね、昔と違って、今はみんなが同じ格好をしているっていうのがなくなった。わかってやっていればアリというか。文脈による。ダサい格好というのがなくなっちゃった。
シルエットやちょっとしたディテールの差で、わかっている人とわかっていない人の差が微妙に出る。差異のゲームが極度に複雑化しているから、一番イケてる人と一番イケてない人が全く同じような格好をしている、ということもあり得る。
②【宇多丸さんもヒップホップ女子が好き?】
どの人もそうだと思うんですけど、自分に似合っていればいいんですよ。僕は似合うものを着るのは知性だと思うから。服なんてどうせ着なきゃいけないものなのに、その要素を考えないようにしているのは、ちょっとした知性の欠如に見えちゃう。ま、「興味ない」というのは、ひとつのあり方としてあるけど、とんちんかんな格好をしているのは、「あー。頭が悪いんだな」って気がしちゃう。
やっぱり、自分は何が好きでどういう人間なのか、っていう自己演出をちゃんと考えないと、トレンドを追っかけるのは不可能な時代だから。ちゃんと自分の好きなものを掘り下げる必要があるのかもね。
③【今、女の子が'90sヒップホップファッションを取り入れるなら? 外さないポイントは?】
ミリタリーやワークの、象徴的なアイテムを取り入れるくらいかな~。当時のシルエットまで完全にコピーしてしまうと、ただのコスプレになっちゃう。プレッピーっぽいのに、ちょっとハードなテイストが入っている。カーディガンやボタンダウンに、迷彩柄のバッグやアウトドアっぽいブーツを合わせる。こういうミスマッチ感のあるバランスじゃないですかね。
僕はこれらのQ&Aに冒頭の問いに対する答えが隠されている気がしました。
上記①〜③を踏まえて重要なポイントをまとめると、
1.今の時代、トレンドを追うというのは不可能。これを着ればいい、という正解はない。
かといってとんちんかんな格好をしているのは問題外。
自分はどんな人間なのか自己演出するためには、自分の好きなものを掘り下げる必要がある。
2.今の時代、ダサい格好というのはない。
その人が文脈をわかってやっているかどうかが差異を分けるポイント。
それらはシルエットやちょっとしたディテールに表出する。
3.いくらリバイバルと言っても、当時のシルエットまで完全にコピーしてしまうと、ただのコスプレになってしまう。
ちなみに勘のいい皆さんは
1と2は「ノームコア」の定義とも重複している、という事に気付いたのではないでしょうか。
冒頭の問いに答えるためには、
2017年現在「ノームコア」をまず基準に考えることが重要です。
ノームコアは終わった、とWEB上の各メディアは喧伝していますが、新しいトレンドが始まったようでいて、実際は全くノームコアの掌上の出来事なのです。
例えば
ギークやタッキー(90年代風にいうとバナルファッション)
などはそのまま上のポイント2になりますよね。リバイバルなのは間違いないのですが、「文脈がわかっていてあえてやっている」のバリエーションである事は分かるでしょうか。
今のスタイルは、
あらゆるサブカルチャーやスタイルを全て分かっている前提なので、全てに「メタ」な視点というのが加わる、という点をまず覚えておきましょう。
どういうスタイルだったか本当は知ってるけど、「あえてやっている」
「当時のスタイルを感傷に流されずに素材の1つとして無慈悲に組み入れている、それも本当は細かいところまで知ってるんだけど、あえて分かってない、何も考えていないかのような組み合わせをしている」
というフィルターを通すと今っぽくなります。
感覚的なものですが、
前にネットショッピングで、忍者ハットリくんの絵が描いてあるのに、
(分かってて)「パーマン」と描いてあるスウェットを見たときは、強烈に今っぽさを感じました。
でも、そう言う服を着ろ、ってことじゃないですけどね。
頭でっかちになりすぎてしまったので、
じゃあ結局どうすればいいの?
と言うのはまた次回。
あのバッグの理由
休日のショッピングモールで死ぬほど見るこの手のバッグ。
子持ちのお父さんに非常に多い。
(ちなみに自分も子持ちのお父さんなので割と他のお父さんはチェックします)
ジーパンにネルシャツによくわからないトンガリ系ギャル男スニーカー(ドラゴンビアードとか?)みたいのに合わせて持ってる人が多い。
だいたいツートンカラーの合皮みたいなやつが多い。
ちょっと年齢行った人はポーターのフリースタイルというやつの「キャメル」率が異常に高い。
だいたい奥さんはコンサバな恰好。
与えられたものをただ着ている人とか
全くオシャレに興味がないと言うのではなく、一応オシャレが好きそうな人でもかなりの割合で持っている。
これは何なのか。
10年くらい前にメンズバッグの販売の仕事をしていた時、お客さんから非常によく聞かれたフレーズがあった。
「休みの日のちょっとした外出用に、サイフと携帯だけ入るくらいの大きさのバッグが欲しいんだよね」
「ポケットパンパンになっちゃうのも嫌じゃない?」
「セカンドバッグとか昔あったけど、本当はああいうので良いんだけどさ〜?今あんまり売ってなくてね」
(30代〜40代だとさすがにセカンドバッグは持てないじゃん?というフレーズになる)
それは、「サイフと携帯を入れるためのバッグが欲しい」というもの。
人によってはプラスαでカメラか文庫本が追加されるくらいで、おそらく普段用のバッグでは1番このニーズが多かった。
世代的には30代〜60代と言ったところ。
ちょうど良いのが無くて、レザーのウエストポーチとかややミリタリー調のキャンバス地の小さめのポーチみたいのを勧めたものだが、
価格帯がだいたい15,000円〜と割と高い事もあってあまり反応は良く無く、
気がつくと、お客さんはいつの間にか隣の東急ハンズに流れている。
(ちなみに1つだけあったセカンドバッグ風のデザインのものは25,000円。
その頃はクラッチバッグとか言って10年後こんなに流行るとは思わなんだ)
今思うとおそらく、あの時のニーズに応える、
新定番となったバッグがコレなのではないかと思うのである。
しかし、今この手のボディバッグはいくらでも種類がある。アウトドア系にはオシャレなのが一杯あるし、ちっちゃいのを前に持って来る背負い方も少し前に流行ったはず。
それなのに、なんでこのオロビアンコorもどきの安っちい合皮と合わせたカラフルなタイプばかり見るのか。
一見割とダサいなりにオシャレしてるよ!気を使ってるよ!ブランドこだわってるよ!みたいな人でも持ってるのか。
購入層のペルソナを考えてみる。
以下は自分の想像です。↓
ウチの旦那はシーズンごとにちょっと服は買うけど、バッグについては会社用のバッグしか持っていない。そもそも仕事以外でバッグを持ち歩く習慣がなく、カジュアルなバッグがない。
もしくは独身時代から使っていてボロい。
そこで、前に実家に行った時にそれを覚えていた奥様や奥様の家族辺りが見るに見かねて誕生日辺りにバッグをプレゼントしようと思った。
嫁とお母さんが相談している。
男の人のバッグとかよくわからないけど、
普段良く見るああいう感じのとか良いんじゃない?
うん、良く持ってる人見るよね。
普段バッグ持たないし使ってくれるかどうかもわからないから、あんまり高いのはあげなくて良いよね?
大丈夫〜多分全然気にしないと思う。
これなんか良いんじゃない?
なんかレザーとか使ってるし、金具とか高級感もちょっとあるから良いでしょ?
あっ!オシャレなサラリーマンでこういうの持ってる人いるよね!
あれなんていうんだっけ。
流行ってるよね。
オロ…あのなんかイタリアっぽいやつ。
色はどうする?
黒じゃつまんないし、
あとはネイビー辺りが無難だけどせっかくだから赤とかにしてみる?
ああ意外と似合いそう!
Gパンに合わせたらオシャレじゃない?
これの贈る相手が結構良い歳のおっさんで、
せっかくだから良いものをあげたいね!
バージョンがポーターのフリースタイルのキャメルなのでは?
と僕は予想する。
つまりこれを持ってる人は
「自分で買ってない」
人が多いのではないかと思うのだ。
そこそこオシャレだったらまずこれらを選ばないと思うので、そういう人は「仕事以外では普段バッグを持ち歩かない人」なのではないか。
で、女の人がブランドに気を使った結果ポーターなんじゃないか。
これは多分、別にオシャレじゃない女の人が男の人のブランドをよく知らない事が原因ではないか。
オシャレな女の人ならブランドなんか関係なく、そこそこの値段で良いものを選べるのだが、その辺の流行ってるからニューバランス買った、みたいな主婦は多分選べないんだと思うんだ。
イモっぽい男の人が女の人に傘を送ろうとして、丸井の一階でおばさん店員に何が良いか聞いたら、「若い人ならこの辺ですかね」とか勧められるがままピンキーアンドダイアンの折りたたみ傘を買っちゃう、みたいな感じ。
女の人だと一応その辺オシャレにプライドがあるから、店員さんに相談しないでとりあえず自分の知ってる中で選んじゃう、みたいな人が多いのでは。
実際どうなんすかね?
色を拾えばいいってもんじゃない
よく、多色使いのアイテムに何を合わせるか悩んだ時は、例えばチェックシャツならその中にある一色を抜き出せばいい、
というものがありますが、
これはかなりの確率で失敗します。
実際には多色使いのアイテムを1つの塊として認識する必要があります。
例えばネルシャツ。
色味にもよるけど、例えば、
彩度高めのターコイズ紺白とかの配色のネルから単純に色を拾ってパンツに持ってきてしまうとかなりの確率で「イマイチ」なコーデになります。
この例は靴にも色を使いすぎていて余計にやばいのですが、
同じ色を多用している人の例でも、
こちらは上級者!って感じがしません?
古着によくある原色多色使いのニットを着ているにも関わらず、まとまりがある感じがしますよね。
これは、ニットそのものを色の配列としてではなく、塊として捉えているからです。
このトーンの配色をまとめられる、色を吸収できるのはどのくらいの面積でどんなトーンのどんな色を持ってくるか?
を考えた末にこのちょっと緑がかったネイビーを持ってきたはずです。
具体的に「ニットから拾った」のは靴下のピンクで、この青みが強いピンクはこのパンツのネイビーと相性が良いです。
例えば、最初からネイビーとのコントラストで補色に近いイエローの靴下を履こう、と頭で考えてニットと同じ彩度のイエローの靴下を何も考えずに履いていたら、おそらく全体がくすんでしまい、垢抜けた印象にはならなかったと思います。
多分、ニットを活かしたコーデにならずに、全体で信号みたいな赤青黄!の印象になったのでは。
ここでピンクの靴下がベストだと判断するには、鏡を見るしかないのです。
それが僕から見たらわかるから、この人は服を着ること、コーディネートを考えることが楽しいんだ、好きなんだ、というのが伝わってくるのです。
このコーデが好きか嫌いか、自分に似合うか、とかそういうのとは別にして。
基本的に色を使う時は
「吸収して殺す」のか、
「浮かせて殺す」のか
をまず考えることが必要です。
例としてパンツに明るい色を使った場合、
他も相性のいい淡い色でまとめて、
(薄いグリーンのパンツを薄いグレーと白のボーダーで殺す)
で、ポイントだけ黒とかグレーとか暗い色を使うパターン。
これはどちらかというと上の多色ニットの女性と同じタイプの「殺し方」です。
ある程度の面積に受け止める色を持ってくるパターン。
あと、特にメンズの場合、
パンツに明るい色を使った場合、
他のアイテムを暗い色で統一するとまとまる事が多いのですが(ベージュのチノパン以外を黒系で囲んで殺す)これは
色を浮かせて「殺す」パターン。
また、全身モノトーンに靴だけ赤、とかのパターンもこれに入ります。
基本的に吸収する・囲む側はニュートラルカラーが多くなります。
主にモノトーン系が多くなり、
殺したい色味によってどのくらいの濃度の、色味のグレーなのかが変わってきますし、
(黒とグレーは違いますが、黒はグレーが暗くなったものです)
もっと難しいのだと例えば上の緑がかったネイビーのように、基本色のネイビーの中でも色味を変える、などが必要になる場合もあります。
ちなみにデニムは色落ちの立体感による紺のグラデーションと白が入るので、デニムが何にでも合わせやすい、というのはこの
色物を「吸収して殺す」に使いやすい、という事です。
何しろ、色は活かす、のではなく、
いかにして殺すか、の方を意識すると
逆に「活きる」ようになる事を覚えておくと良いかもしれません。殺し方のスマートさで差がつくというか。
1番良いのは、例えば上の男性が着ているようなデザインのシャツを買わない事だったりします。シャツ系はこういうよくわからないデザインのがいっぱいあるのですが、
こういうのをだせえな、と思えるだけでも成長していると思います。
女性が着ているニットは古着だから着こなしが難しいだけでダサくはありません。
この違い、わかりますか?